感謝
平成20年8月1日
毎朝、テレビでニュースを見ていると、六歳になった娘の祐那は、「消して!消して!怖いよぉ」と言う事が多くなった。それは、少年少女が親を殺してしまったり、親が子供を殺したり、秋葉原無差別殺人の様に猟奇的事件などが多発し、テレビを付けると残虐なニュースが流されているからだ。色んな事が理解できるようになってきた娘とって、大人が思う以上に恐怖を感じるようだ。こんな社会は子供に見せたくないと思うし、もう間もなく親の手を離れ、この社会に出て行くと思うと不安になる。どうしてこの様な社会になっ てしまったのだろう。人間本来の姿素晴らしさが見失われつつある ような気がする。しかし、息子の大雲を見ていると人にとって何が 大切なのかということを気づかせてくれる。
大雲は生まれてすぐ大病を患ったせいで発達障がいになり、とて もゆっくり成長する。普通の子と同じ様に出来ることは少ないが、 最近の大雲は少しお手伝いをしてくれるようになった。もちろん、気が向かないとやってはくれないのだが、大雲にとってはすごい事 なのだ。私が洗濯物を干していると、洗濯籠から洗濯物を取り出し、「どうぞ」と言って渡してくれる。私が「ありがとう」と言うとニコニコっと嬉しそう顔をする。何回かこのやり取りをしていると大雲は『ありがとう』と言われたく「どうぞ」が抜けて「ありがとう」と言って洗濯物を渡してくれる。大雲の得意げな顔見て思わず笑ってしまった。コミュニケーションが取りづらく、マイペース な大雲だけど、障がいがあっても人の役に立ちたいのだなと思い、 これが人間本来の姿なのだと実感した。
自分の利害ばかり考え、自分勝手な行動で周りも自分も傷付けてしまう私たちだけど、小さな事で良いのだから、一日一回人の役に立てる事をし、人間本来の美しさを取り戻そう。そして「ありが とう」という言葉は、素敵で人を幸せにする言葉だと思う。ただ心に思うだけではなく、どんどん声にして伝えるべきだ。また親子でしか交わせない「生んでくれてありがとう」「生まれてくれてありがとう」と言ういのちへの感謝をしたいものだ。
祐 海 合 掌